なんでも屋 神…第一幕
口角を横に引き、奥歯を食いしばっても襲ってくる恐怖と震えの津波。



相馬の絶叫が余韻に浸る最中、首筋に力を込め人差し指が引かれる。





ガキン!





力無く垂れ下がる両腕が、積もり積もった緊張の山を崩す。



次の瞬間には白目を剥きながら、勝ち誇った笑みを見せる相馬。



音も無く滑ってくるコルト。天国か地獄への片道切符…蛍光灯の頼りない光を、鈍く妖しいまでに跳ね返すコブラの刻印。



[三谷組]からは嘲笑と冷笑が漏れ出し、俺の正面には恍惚とした表情の相馬。



冷酷なまでに残酷な表情を浮かべる銃身…中に着ているYシャツは、既に背中へ張り付いている。



乾いた唇にひきつる頬。虚飾の仮面を愛撫する冷風。仮面の下には、鬱々とした表情を隠している。
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