なんでも屋 神…第一幕
扉は開かず、断罪は下されなかった。いや、これで下されたのだろうか…現世で罪を償う事が、お前に下した断罪だと死神が嘲る。



それがお前には一番辛かろう…そう言いながら大口を開けて蔑む死神。罪の無い真美は簡単に連れ去り、罪を犯したはずの俺には生を与える…生と死を司る死神は気紛れ。



…だが今なら、その下された罪を受けようと思える。死を選ぶ方が楽だ…悶え苦しみながら生きろと言うなら、その罪を受ける。



何処かでこうなるだろうと思っている自分も居た…死神より怖く恐ろしいが、俺に生を与えた鬼子母神…。



今日の出掛けに言われた言葉を思い出す。



「アタシの息子だからね。負けはないさ。」



命を賭けたが死神には受け取って貰えなかった…死神も鬼子母神も俺に生きろと言う…可笑しくて笑ってしまいそうだ。



だが、俺のするべき事はした。それで今生きているなら、生きながら罪を償おうと言う気持ちになった。



…なぁ真美…それでいいか?
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