なんでも屋 神…第一幕
駄目な兄貴だったな…何時の日かそっちに逝ったら謝らせてくれ…そして、また一緒に並んで歩いてくれないか…。



嗚咽を鳴らしながら、乾いたコンクリートに涙を落としている相馬。



今、相馬は何を思って泣いているのか…俺にはそれが何かは分からない。真美の事を想い、泣いてくれているのだろうか…。



真に美しい…その名前が良く似合う妹だった。その妹を奪った俺の罪深き業…相馬の生きる望みが俺を怨む事だったのなら、俺を怨み続けても良いが、それでも前を向いて歩き出して貰いたいと望む。



肩に積もっていた十字架を降ろしたように、途端軽くなる背中。



「相馬…もう一度だけ真美に逢わせてやる。」



徐にスーツの上着を脱ぎ捨て、シャツのボタンを一つずつ外していく。
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