なんでも屋 神…第一幕
「なんじゃ、帰ってきおったのかバカタレが。」



俺はタバコに火を付けて、診察室にある丸い椅子に座った。



「爺、前置きと挨拶は抜きで仕事の話しだ。三十ぐらいの女と二歳の女の子の戸籍を用意出来るか?」



爺は、眉間に溝のような皺を寄せて少しの間考え込んだ。



「親子か?品数はかなり少ないぞ。もしかしたら無いかもしれんし、もし有っても値は張る事になる。知り合いに聞いてみるから、夜にもう一度顔出しに来い。」



俺はゆっくり頷き、タバコをくわえたまま診察室のドアを閉めた。



「ちょっと神君。ここの長椅子マジ汚くて座れないだけど。」



待合室で待っていた一葉が、リスのように頬を膨らませ仁王立ちしていた。



その不満の先の長椅子に目をやると、元々黒かったであろう椅子の表面は、埃が地層のように積もって白くなっている。



「お前ね、どのタイミングでマジって単語使ってんんだよ。それに、一々文句を言うなら付いてくんな。ガッコに行って国語の文法でも習ってなさい。」
< 35 / 309 >

この作品をシェア

pagetop