なんでも屋 神…第一幕
タケノコ、レンコン、錦糸卵、蒸しエビ、ハマチに少し刻み海苔と、付け合わせに青紫蘇のちらし寿司を三人で食べて家を出た。



「ご馳走様でした。じゃ、イトさんまた今度。」



玄関まで見送ってくれたイトさんに、何時までも手を振る一葉を連れてタクシーに乗り込んだ。



「[立花精鋼]まで。」



車で十五分程の所にある工業団地の前でタクシーを降り、一葉を近くの喫茶店で待たせて[立花精鋼]の事務所に向かった。



俺の格好は、シンプルな黒のスーツに薄ピンクのYシャツを併せ、右手にはシルバーのアタッシュケース。中には書類らしき物が整理されていれてあるが、意味のある物は何一つ無い。来る途中にコンビニで買った黒髪戻しのスプレーを、喫茶店のトイレで満遍なくふりかけ、髪型を軽く七・三に分けて、四角い黒縁の伊達眼鏡をかけたサラリーマン風。




我ながらベタだとは思うが、見破られるとは思っていない。



ガラスドアに白いカッティングで、[立花精鋼]と縦書きされた正面玄関に入っていく。
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