なんでも屋 神…第一幕
在り来たりだが、美味い。



うん、美味い美味い。




「どぉ?美味しいでしょ?今日神君が出てってからイトさんに教えて貰ったの。出来たのはさっきだから、本当はこのぐらいに帰ってきてくれて助かったんだけど…。」



キッチンの方に視線を移すと、天に召された鍋が三つと、まな板の上には大量の野菜の切り屑が山のように盛られている。


イトさんを見やると、表情はいつもの笑顔だが、瞳の奥は苦笑いしているのが分かる。



「あれ?お袋は?」



カレーを半分程食べた所で、五月蠅いお袋が居ない事に気が付いた。



「奥様は温泉旅行に出かけられました。」





…あのクサレババァ!



となると…イトさんは俺が居るから一緒に行かなかったんだな。



俺はイトさんに十万円を渡し、今すぐタクシーでその温泉に向かわせた。
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