なんでも屋 神…第一幕
そこで一ノ瀬から渡された、持ってきてもらいたい物が書かれた紙をポケットから取り出して、俺は愕然とした。



…彼奴は馬鹿か。



何処の世界に、家財道具一式を持って夜逃げする奴がいるんだよ!



洗濯機とか風呂場の窓から出せないし、紙の最後には、サイドボードの上に置いてあるコケシまで細かい字で書いてある。



…呆れてものも言えん。



取り敢えずそんなリストは無視して、生活に必要の最低限の物を静かに風呂場に運んでいく。



家の中で一番小さなテレビや服を詰め込んだバックを、リビングの壁掛け時計の秒針の音を聞きながら、物音を立てないようにゆっくりと着実に運ぶ。



一通り風呂場に荷物を運び終わったので、松を外に出して車まで運んで貰う。
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