なんでも屋 神…第一幕

「いいから！次の信号迄追い付かれて左に曲がれ！それでも１００キロはキープしてろよ！」



次第に縮まっていくグロリアとの距離。急に左折した所で、対した距離は空かないだろう。



アコードも、曲がりきれずに突っ込むか横転するかもしれないが、今は松のドライビングセンスとテクニック、それと車に対する理解力を信じるしかない。



「今だ！松曲がれ！」



凄まじい重力を身体の横に受け、左後輪はローライダーのスリーホイラーとまではいかないが、確かに空中に浮いた。



その瞬間、奇妙な浮遊感を身体と脳で感じて、恐怖心が身体の中を血液のように駆け巡る。



死ぬ間際、脳裏に走馬燈が駆け巡ると言うが、思い出のアルバムを一ページずつめくっていく見えない自分…。