なんでも屋 神…第一幕
「おい、おい!神!」




松の声で我に返り、ホッと胸をなで下ろす。後ろを振り返ると、グロリアは長いタイヤ痕を引き吊り、テールランプを左右に振りながら急停止していた。



「…いやぁ〜走馬燈が頭の中を駆け巡ってたよ。」



「んなもん駆け巡んなくていいから前見ろ、前!次はどうすんだよ!」



よく見れば、フロントガラスに叩き潰されたような羽虫達がこびり付いている。



「信号一個分チギれば大丈夫だろう。そのままのスピードで今度は右に曲がれ。」



グロリアはホイルスピンして、白い煙を上げながらバックしている。



俺の頭の中は、目的地までの回避ルートも暗記済みだ。
< 73 / 309 >

この作品をシェア

pagetop