time

その日から、少しずつだけれど海斗と自然に話せるようになった。



おはよう

ありがとう

よろしくね

ばいばい



ほかの人から見ればあまり変わっていないだろう。

誰だって言う言葉。

けれど、
今までのあたしでは出来なかった大きな成長。
そんなあたしを見て、亜美はとても喜んでくれた。


「亜美~!!今日ね、あのねっ~」

「分かったから、落ち着いてよぉ」

「さっきね、海斗にバイバイって言ったの!!」

「良かったじゃんー♪エライ偉い」


亜美への報告は毎日の日課となっていた。



人に言うことで確かな記憶に、そして

自信をつけていたのかも知れない。





今日は何回海斗に廊下ですれ違ったとか、

何回話せた

何回笑えた・・・


それをいつも寝る前に数えていた。

確実にその数は増え、海斗のことを思う時間も同じくらい増えていった。


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