time
「おはよう美絵~!!」



顔をあげると

海斗が少し離れた場所で手を振っていた。



その様子を見てただ立ち尽くしていると、海斗は不思議そうな顔をした。


「ん?どうかした??」


焦って応える。


「ぅうん、何でもないのッ!!」


せっかく話せたのに緊張して会話が続かない。

何話したらいいんだろう・・・




この沈黙があの日の記憶を呼び覚ます。

辛い記憶


みんなにひやかされて、幸せだった日々は崩れた。


全身から血の気が引いていく。


「一緒の係りだよな。よろしく」


海斗が沈黙を破ってくれたおかげで

少し気持ちが落ち着き、笑顔を取り戻すことができた。


「うん!!よろしくね。」

「じゃあ、また」


海斗はそっと手を振ると、校門へと走り去っていった。


後姿を見つめる。


海斗・・・。


記憶の中で止まっていた海斗は、

このときから

あたしの中で鮮やかに動き出したんだ。


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