卒業
担任の、佐山直哉先生がそう言った。

理科の先生だ。

少し変わった感じの先生だが、中々面白い人で、みんなからも慕われている。

…中林先生とも、仲が良いようだ。



私が数学のプリントを見ている、ということは、もう大体みんなが知っていた。

私が数学だけ、ずば抜けて出来ることはみんな知っていたし、何一つ、不自然ではないようだった。





「中林先生ー!」

「はい!…お、松居!」

「2‐3の夏期課題です。どこ置けばいいですか?」

私は、あたりを見回して言った。

「あ、いいよ!僕が運ぶから!」

先生はそう言って、私の抱えていた宿題を手にした。




   トン





ッ!!

先生の指が、触れた。

私は、うつむいた。

「よし、っと!ありがとな!」

「はい。」

「あ!ちょっと待って、松居!そういえばさ」
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