卒業
私は、苦笑しながら職員室を出て行った。







━━"松居なら"━━…?




何で、そんな風なことを言うの…?



私のことなら、全部分かってる、みたいな…。



"私"を理解したと言うのなら、"私"を理解しようと努めたの?

ならば何故、"私"を理解しようとした━━?





私は、その答えに気付いていた。

そして、それはただの考えすぎで、先生には、そんな深い意図なんて無かったことにも、気付いていた。



つまり、"何故、先生は私を理解しようとしたのか"という問題自体がおかしいのだ。





━━━━━━問題ミス。



先生と、同じ…。



何故だろう?下らない思考が頭を巡る…。



嘘だ。



鼓動が速いなんて。

息が苦しいなんて。

頬が熱いなんて。





耳の奥で、
"松居"と呼ぶ、その声が響いているなんて…。
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