卒業





職員室を出て、
しばらくした渡り廊下。

私の胸には、
いろんな想いが
渦巻いていた。



その中でも、

私の胸を
一番満たしていた想い。


それは



"先生が
 居なくならなくて
      良かった"



それだった。


あまりに嬉しかった。



怖かった。



こんなに
悩んでしまうのなら、

いっそ、

転勤してくれれば、
効率がいいはずなのに。



━…そうか、


━━━━━━……私は…





先生のことを、
本当に



好きになって
    しまったんだ。





自分でも、
薄々とは感ずいていた。


"一時的な錯覚"


そう
言い聞かせていたし、

正直、今でもそう思う。



でも、
今、

ハッキリと
自覚してしまった。

錯覚だろうと
何だろうと、

今、

私は先生が好きなんだ。








あまりに鮮明な意識。

まだ冷たさの残る、
新鮮な空気。










もうすぐ、春になる。
< 26 / 33 >

この作品をシェア

pagetop