卒業
職員室を出て、
しばらくした渡り廊下。
私の胸には、
いろんな想いが
渦巻いていた。
その中でも、
私の胸を
一番満たしていた想い。
それは
"先生が
居なくならなくて
良かった"
それだった。
あまりに嬉しかった。
怖かった。
こんなに
悩んでしまうのなら、
いっそ、
転勤してくれれば、
効率がいいはずなのに。
━…そうか、
━━━━━━……私は…
先生のことを、
本当に
好きになって
しまったんだ。
自分でも、
薄々とは感ずいていた。
"一時的な錯覚"
そう
言い聞かせていたし、
正直、今でもそう思う。
でも、
今、
ハッキリと
自覚してしまった。
錯覚だろうと
何だろうと、
今、
私は先生が好きなんだ。
あまりに鮮明な意識。
まだ冷たさの残る、
新鮮な空気。
もうすぐ、春になる。