卒業
「二歳になる娘がいます!!」

「え?」
「先生、結婚してるんですかぁ!?」

「ああ。」

「なんか意外~!!」
「だよねー。」

そう、意外だった。その外見からは、"結婚"という言葉は連想できなかった。

そう、ただ、意外だと思っただけだった。

「え、そんなに意外!?この年だったら普通じゃないか?」

冷静に考えれば、確かにそうなのだが。

教室の雰囲気は比較的明るく、笑いに包まれた。

それから、先生に自覚があるかどうかは別として、娘自慢が始まった。

合間合間に、奥さんの話も出てきた。

―…良かった、けっこう面白い先生で。今日はほとんど授業にならなかったけど。

私は、一安心した。





この時は、私が先生に対して、まさか特別な感情を抱くなんて、全く想定することができなかった。
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