卒業
私は、そう紹介された先生を、凝視した。

若く細身で、髪の色は、少し茶色に近い、黒だった。
少し甘そうだな、という印象を持った。

「皆さんに数学を教えることになりました、中林です。皆に数学を好きになってもらえるように、頑張るので、よろしくお願いします。」

その細身の体から、あんな元気で大きな声が出るものなんだな、と少し感心した。

そして、"嫌いにさせないでよ?"と、心の中で呟いた。





初めてクラスに授業に来たとき、興味津々な高校生たちに、質問攻めにあっていた。

「先生、いくつですかぁー?」

「28です!!」

「え、マジ!?」
「見えな~い」
「けっこーいってんだね~!!」

「ああ、童顔だからなぁ。」

「何型ですかぁ~?」

「O型です!」

「誕生日は~?」

「10月14日です!」

「はいはーい!!」

「はい、何ですか?」

「彼女いるんですかぁ?」
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