卒業
私は、中林先生に呼び止められた。

そう。私は、松居里菜子。

国語・社会、そして英語がダントツ苦手な、数学を比較的好む、ただの高校2年生。

「はい?」

「GWの宿題、調べ終わったんだけどさ。」

「?」

「…みんなのレベル、結構危険だな。」

私は苦笑した。

「はぁ…。」

そうだろうな。

「でも、松居だけは、大丈夫そうだったからさ。」

「そうなんですか?…というか、先生、もうみんなの名前覚えたんですか!?」

先生は、いやいや、と笑った。

「何人かだけだよ。」
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