ラストゲーム
「私、もう駄目。健まで死んでもう生きてけない・・。」




奈央は、会うなり泣き始めた。




とある居酒屋。




日々の激務で寝てない状態に、追い打ちをかけるようにどうでもいい人間に泣かれ、こっちが泣きたい。




奈央が涙で視界が曇っている内に、私は、欠伸を連発しておいた。




さすがに2日続けて徹夜は、しんどい。




あの、麻薬中毒がなかなか尻尾を出さないせいで張り込みが1週間続いたあげく、ようやくボロを出し、取り押さえようとした所、逆上した犯人に右腕を刺された。




とっさに身体を避けたので幸いかすり傷程度だったが、まだ右腕が妙にひりひりして痛みを帯びている。




最悪の気分だ。




せっかくとれた休みだったのにアホ女のために時間をさいている私。




まさに、世のため人のため、刑事の鏡に違いない。



泣き続ける奈央を観察すると、腕に引っ掻き傷のような赤い傷と、リストカットの跡が見えた。




自殺志願者か・・・。



あの自殺宣言もまんざら嘘では無いようだ。
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