ラストゲーム
「奈央、この10年間で何があったの?」




あまりにうっとうしいのでここは話を聞いて気を紛わすことにした。




奈央は、俯き、泣きの姿勢を崩さず語り始めた。




「私・・高校辞めて、ギャバ嬢やり始めたんだ。私、結構向いてたみたいで、すぐにナンバー1になって・・・丁度その時知り会った客と結婚して、健が生まれて・・幸せだったのに・・」




幸せだった・・?




その言葉は、一生理解出来ないが、私は、興味も無い奈央の話を聞き続けた。




「幸せだったのにどうしてこうなったの?」




たぶん、そんなちっぽけな幸せさえ壊す位奈央がアホだったと言うだけだろうが・・・。




奈央は、続けた。




「金儲けの話でアットホームに勧誘されて、健の養育費とかでお金がいったから思わず契約しちゃって・・・
そしたら、マルチだったんだよ。
借金は増えるし、旦那は逃げるし、子供は、刺されるし、もう最悪。」




奈央は、頭を掻き毟りながら怒りを露にしている。




やはり、奈央の不幸の元凶は、マルチ組織なのか・・。




やっぱ、使えるなーマルチ。




私は、どん底の奈央を見て、復讐の事を考えていた。



「あー、あいつらも同じ地獄に落とさないと気がすまねーよ。」




ビールジョッキを勢いよくテーブルに叩きつけ、奈央が怒り叫ぶ。




本当にうっとうしい奴だなー。




私は、顔をしかめた。




奈央は、ただ泣いて、飲んで、愚痴って怒りを発散している。




あまりに無意味で帰りたい。




「そんなにむかついてんなら復讐しなよ。」




何気なく吐き捨てたこの言葉。




ここから物語は、始まった。
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