ブラッティ・エンジェル
エピローグ
 賑やかな教会。華やかな人。明るい世界。
 いつもと違う装いのサヨは、きょろきょろと一緒に来た人の姿を探していた。しかし、この人混みの中見つけるのは難しいかもしれない。サヨはあきらめて、することがなく自分の足下を見た。
 かかとが高くバランスがとりづらい靴。膝までの長さの黒いドレス。珍しくおろした髪。普段滅多にしない格好だから、サヨは人の視線が気になっていた。実際、ここにいる人のいくつばかりかの視線が、サヨの方に向けられていた。
 確かにサヨの容姿は目立つものだった。金髪の碧眼。この国の人間ではないことは明らかで、目立つ。たびたび、よくわからない呪文のような言葉で話しかけられる。「何いってるの?」と聞くと、驚かれる。そして、今日の主役ぐらいにきれいな容姿。つまり、美人と言うことだ。
 注目される理由は、それだけではない。ここにいる九割はサヨのことを知らない。テレビで見たことがあるかもしれないが、もう記憶に薄いだろう。見ない顔だと言うことでも、注目を集めていた。
 サヨは一人でいることが、居心地悪くて早く帰ってこないかと苛ついていた。いじいじと胸元にあるネックレスをいじる。最近の癖であった。
 今日のコーディネートをしてくれたゆずちゃんは他のアクセサリーをすすめたが、サヨがこれだと聞かなかったのだ。仕方ない。そのネックレスは、大切な人がくれたものだから。
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