G i f t ~ギフト~

昔の記憶

【甘いデート】


私は久し振りに『デート』と言う響きに酔いしれてた。


再び会うあの女を見るまでは・・・。


私と彼は駅近くの大きなデパートの美味しいコーヒー店に入るべく足並みを揃えて歩んでいた。


彼の手からぬくもりを感じて幸せを噛み締めてたその時・・・。


「あれ?春人・・・君?」


少し小柄な女の人が彼に疑問系で話しかけてきた。


彼も「あ・・・」なんて言いながら頭を掻いてる。


「デートだったぁ?邪魔したかなぁ?」


小柄な女の人は可愛げに彼に話しかける。


(どっかで見た事あるコだなぁ・・・。誰だっけ?)


私の中でこの女の人の記憶を辿っていく。


「悪いけど・・・今デート中だから。もう行っていいかな?」


彼も私に悪いと思ったらしく女の人に優しく断りその場を離れようとした。


私は彼に引っ張られ後ろを着いて歩いた・・・


「ちょっと!!」女の人に呼び止められたと同時に私の空いてる右手を女の人に掴まれ、その子に引き寄せられた。


もちろん彼と繋がれた手は惜しくも離れた。


女の人は私の耳元で悪魔の囁きを歌った。


「私。アナタと同じ名前なの。私を覚えてるでしょ?ふふっ。これからが楽しみだね」


(私と同じ名前・・・?)


「春人君。またね!」


女の人は私の手の甲を力強くつねって細い指をヒラヒラさせてその場から離れた。


意味が分からず手の甲を摩る私。
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