G i f t ～ギフト～
【私の記憶】


一夜の過ち。経験ありますか？


好きでもない人を抱いたり、好きでもない人に抱かれたり･･･。


20年以上生きている私にはもちろん後者はある。


でもそれは･･･消えない黒い記憶。思い出したくない汚い記憶･･･。


過ちなんて簡単な言葉じゃ言い包められない記憶。


彼は私に話さないけど、私は彼の【一夜の過ち】を知っている。


そう･･･相手はさっきの女の人。私と同じ名前の人。


もしかしたら･･･【一夜の過ち】では済まない関係かもしれない。


10年も彼との時間が無かったのだから･･･。


すべての出来事を聞かされたのは【結城　吹雪】本人から。


まだ･･･若かったあの頃。


10代私が彼との交際中だった頃･･･。


学校の校門前で私を睨む女【結城　吹雪】


知らない顔に不思議に思いながら通り過ぎようとしたらいきなり平手打ちを食らった若かりし私。


頬に手を当て彼女を睨んだのを覚えてる。


私の耳元で彼女は悪魔の囁きを歌った･･･


「私･･･春人に抱かれたの。アナタより私を選んだのよ。可哀想に･･･弄ばれて終わりねアナタは」


彼女は薄笑いを浮かべて私に言った。


（遊ばれてるのは自分でしょ）そう心で笑って･･･。彼女を睨んだ。


その後も彼女に待ち伏せされて嫌味を言われた。


でも、その事は彼は知らない。


知らせてない。私は彼を信じてたから･･･。


（私から奪えるはずないのにまた仕掛けてくるの？）


少し不安に押し潰されそうになった。
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