チャットは運命 【実話】

「鈴音すごいよぉ!

うちらのクラス得点やばい♪」

沙綾が飛び跳ねて喜んだ。

「私だけの力じゃないよ」

苦笑いをする私をずっと見つめるその

視線に本当は気づいていた。

実梨ちゃん。

さっきからずっと私のこと見てる。

どんな顔をしているのか

怖くて見たくない。

私は一度もそっちを見ることが

出来なかった。

アナウンス室に戻ると西崎秀は仕事中

だった。

アナウンスをしながらこっちを向くと

にっこりと笑った。

その笑顔はきっと〝お疲れ様〟の笑顔。

敵チームなのにそんな顔を見せてくれる

ことが本当に嬉しかった。

なんでそんなに優しいんだろう。

「宮本が違うクラスは不利だろ~」

アナウンスが終わり笑いながら

そう言った。

「あはは何言ってんの」

西崎秀と話していると楽しい。

ちょっとしたことが嬉しいし

女の子とあんまり話さないのに

私には、今まで見た事ない笑顔を

見せてくれるし・・・そういうのって

期待しちゃダメかな?

ダメだよね。

私は西崎秀に気持ちを伝えられない。

関係ないなんて思ってたけど

やっぱり心のどっかに引っかかる

実梨ちゃんの存在。

何されるかわかんない。

・・・辛い。

「おい」

西崎秀の声に我に返った。

「え、何?」

「宮本、最近なんか悩んでる?」

なんでわかるの?

私そんなにわかりやすい?

でも沙綾も竜歩も月翔も

気づかないよ?
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