チャットは運命 【実話】
私は何に悩んでるの?
西崎秀に気持ちを伝えられないから?
そもそも告白なんてする気ない。
だったらなんで?
実梨ちゃんに何かされるかも
しれないから?
でも別に付き合うなんてことには
ならないだろうから何も心配する
必要なんてない。
私、何も悩むことないんだ。
「ううん。なんにも悩んでない」
自問自答を繰り返して私なりに
答えを出したつもりだった。
「そうは見えないな。
何かあったら頼むからなんでも
俺に言ってくれる?」
眉をひそめたんだ。
彼の顔はなんだか切なかったんだ。
「ごめんね」
気づいたら私は謝っていた。
ダメだ。
私まで難しい顔したら西崎秀を
困らせるだけだよ。
笑わないと。
笑わなきゃ。
ポスッ。
「きゃ」
私はすっぽり彼の腕の中。
「泣くなよ」
驚いて頬を触ると確かに流れていた涙。
急いでハンカチを取り出そうと
したけど上着のポケットに入れたまま
だったことを思い出し、手で涙を拭った。
「ほら」
視界が真っ暗になったかと思ったら
そこは西崎秀の匂いでいっぱい。
彼の上着が私を覆った。
「ありがと」
涙を拭って彼を見上げる。
「着てな。次閉会式だから、冷えたら
まずいだろ。ちなみに放送委員は
閉会式には出れません!別の場所から
ビデオ撮影だから♪」
楽しそうに笑う彼はとてもかわいい。