-roop-

約束を果たす日は…

二人の一番の願いを叶える日は…

また誠さんが一人になる日だった。


自分のことばかり考えていた私は、改めて気付いた恐ろしい事実に身体を震わせた。


また…また彼を苦しませるの…?

小さく息を飲む。


それなら…

それならいっそ…嫌われて嫌われて…



あぁ、あいつと離れられてせいせいしたと

そう思わせた方がいいのかもしれないと思った。

そうすればもう、誠さんは泣かなくても済むじゃない。


そう思い付くと、胸の奥が一瞬だけふと軽くなった気がした。



そうだ。

嫌われればいいんだ…


そしたら結婚式の想い出なんて…

そんなますます別れの悲しみを増幅させるようなものは、作らないで済む…。
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