-roop-
「今日の晩飯…ほんっと旨かったなー」
「え?」
夜空を見上げたまま誠さんが呟いた。
そして小さく笑って、私に視線を向ける。
「…ちょっと俺…泣きそうになったもん…」
「誠さん……」
笑っているようで
泣いているような誠さんの微笑み。
きっと彼の心も…笑いながら泣いているのだろう。
私は少し俯きながら言葉を零す。
「誠さん…?」
「ん…?」
フワッ…と灰色の煙が流れる。
聞いてはいけないと分かっていた。
彼を苦しませると分かっていた。
でもそれでも…
夜風が心地よくて…今なら聞ける気がして…。
「…前の私も…よく…料理とか…してたのかなぁ…」