-roop-
「で、周りには針山。鬼に追い立てられて悪人たちが泣き叫びながら登ってくる…よね?」
「…!!」
それもまた私が描く地獄図そのものだった。
「その顔じゃ当たり?…ハハッ。実は私も昔はそう思ってたのよ。」
「っ…!じゃあ…じゃあ何でそんなに笑うのっ?」
私は顔を赤めながらも彼女に向かって言い放つ。
彼女は笑いで乱れた呼吸を整えながら言った。
「はぁ~ごめんなさい。あまりにも期待通りの答えだったもんで、つい…ね。」
そう言うと、彼女の表情は突然真剣味を帯びていった。
…?
さっきまであんなに笑っていた彼女は、煙草を吸うのを忘れたかのように静止したまま黙り込んだ。
停止した彼女の指先の煙草からは、ひたすら細い煙が空中をなぞる。
ふと思い出したかのように再びそれを口に運び、彼女は話し出した。
「…ある人に…本当の地獄がどんなものなのか聞くまで…私だってそう思ってたの…」
「…本当の………地獄…?」
その訝し気な表情は、よりいっそう彼女を際立たせ、私は距離を感じざるを得なかった。
「本当の地獄っていうのはね…」
彼女の深い声に、私は息を飲んだ。