-roop-

「俺だって………お前に救われたんだ……」


「………?」


おでこをくっつけたまま、誠さんはそっと私の頬に手を添える。


「…全部諦めてたあの頃の俺に…生きようって…思わせてくれたのは……お前だよ…?千夏……」


「……っ」


熱く…溢れる想い…。

たとえそれが…貴方に生きる力を与えたのが私ではなくても

それでも…嬉しかった………。



「…誠さ……っ」


「まぁーた泣く~……」


「だって……っ…」


こんなにも深い想いが…果てない想いがあるなんて…

私は、本当の私はきっと知らなかった…。


居てくれるだけで自分の生きる理由になるような、そんなかけがいのない存在。


私自身は…貴方のそんな存在にはなれなかったけど…

私にとって貴方は、誠さんは…『私』が存在する唯一の理由でした……。



< 222 / 293 >

この作品をシェア

pagetop