-roop-

6月2日『プロポーズ』



その隣に書かれた小さく赤いハート…。

その文字は千夏さんのものだった。


幸せで…幸せで仕方がないと…あの写真のような笑顔を零して千夏さんは此処に立っていたのだろう。


その願いが叶えられる日に、まさか此処に立つことができないだろうとは…

此処にいないだろうとは思わずにこれを書いたのだろうと思うと…

涙が止まらなかった…。



--6月23日--


運命のその日を境に、千夏さんが事故に逢ったその日を境に突然絶えてしまった幸せの文字。

代わりにただ黒いペンで日付が消されていく…。






絶対に泣いたでしょう…?

これを引き剥がして誠さん………泣いたでしょう…?




本当は…すごく泣き虫だもんね…。

一人になったこの部屋で…声を押し殺して…泣いたのね…。



顕になった真っ白の壁を見て…此処に立ち尽くして…



泣いたんでしょう…?
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