-roop-


彼が手にしていたのは…赤い……マルボロの箱…


千夏さんと誠さんが愛用している煙草…




途端に誠さんの目に…期待が浮かぶ。


「これが…どうかした…?」



--もしかしたら覚えてる…?--




誠さんは本当はそう聞きたかったのだと思う。

私は首を横に振った。




「うっ…ううん、何でもない」


私がそう言うと、誠さんは悲しそうに笑った。




「……そか…………じゃあ明日…な…」


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