空色幻想曲
「──────」
「っっっ!?」

 いたずらな火に煽られて小さな耳が真っ赤に染まり

「こっの……むっつり不良騎士!!」

 左頬に痺れるような熱い痛みが走る。力加減も容赦ない。
 ……いや、鉄拳じゃなかっただけまだマシだ。

「半径3m以内に近づかないで!!」

「距離が増えている……」

 俺からは一歩も近づいてないんだが。

「返事は!?」

 バッと立ち上がり、赤ら顔で見下ろした。恥じらって赤いのか、怒って赤いのか、もはやわからない。

「それは『命令』か? 『約束』か?」

「命令よ! いいわね?」

「……わかった」

 焚き火をぐるりと半周し、俺と反対側の場所に離れて座った。距離は測ったようにきっちり、3m。

(ちょっと調子に乗りすぎたか……)

 むっつりスケベもほどほどに。
 むっつりスケベもほどほどに。

 心で唱えて反省する。

 ──え? 王女に何を言ったかって?

 それは……










 ……想像に任せる。


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