空色幻想曲
 竜巻と剣閃が交わる!

 ──……

 魔族が放った風の刃は、俺の頬をかすめて黒天に消えた。
 俺の繰り出した剣は、竜巻をすり抜け闇に潜む影を分断した。

 刹那の反撃。

 敵が仕掛けるなら、結界が解けた一瞬の動揺をついてくると思った。そこまで待つのは非常に危険な賭けだったが、魔族を確実に倒すためには眼前の敵だけに集中する必要があった。

 深淵に浮かぶ金の眼がギョロリと俺を睨む。

「人間風情が、なぜ……私の風が、読、め……」

 かすれた言葉を最後まで発することなく一陣の風は血の池に(たお)れた。

「お前の相手が悪かった。それだけだ」

 亡骸にほんのわずかな同情心を寄せてポツリとこぼす。
 すぐ隊員に向き直って声を張り上げた。

「三人目、撃破だ! 王女のもとへ戻るぞ!!」

 ──レガート、間に合ってくれ!!

 翔ぶが(ごと)くマントを(ひるがえ)した。

********************
< 308 / 347 >

この作品をシェア

pagetop