空色幻想曲
「ティアニス王女……」
もう一歩、彼女に近づくと
「来ないで」
拒絶の言葉が放たれた。強くも弱くもない平坦な声でいまいち感情が読み取れない。
「泣いているのか」
「泣いてない」
「怒っているのか」
──足手まとい扱いした俺を。
「怒ってない。……でも怒ってる」
「自分自身に……か?」
返答はないが、沈黙は肯定だろう。自分の何に怒っているのか、なんとなく予想はつく。が、掛ける上手い言葉が見つからない。何を言っても空々しく響きそうだ。
「ごめんなさい……」
迷っていると、ティアニス王女のほうから弱々しい謝罪を口にした。
「何を謝っている」
「私、結局……なんにもできなかった。せっかく稽古つけてもらったのに、手足がすくんで動かなかった……」
「そんなものだ」
「あなたの言うとおり。仇を討つどころか自分の命すら護れなくて、みんなの足手まといになっただけだった……!」
闇を彩る空色が風に晒され振り乱れる。
「“慈愛の女神”だなんて言われたって私にはなんの力もない! 誰かを助けることも護ることもできない!!」
叫びながら王女は自分の髪を強く握り締めた。
「おい、何をする」
「なのに……どうしてみんな私を護るの!? みんなが命を懸けて護る価値なんてないのにっ!!」
「止せ!!」
髪が抜けんばかりに引っ張る手を強引に掴んだら、勢い余って二人一緒に倒れ込んでしまった。草叢に押し倒した状態で、向き合う。
もう一歩、彼女に近づくと
「来ないで」
拒絶の言葉が放たれた。強くも弱くもない平坦な声でいまいち感情が読み取れない。
「泣いているのか」
「泣いてない」
「怒っているのか」
──足手まとい扱いした俺を。
「怒ってない。……でも怒ってる」
「自分自身に……か?」
返答はないが、沈黙は肯定だろう。自分の何に怒っているのか、なんとなく予想はつく。が、掛ける上手い言葉が見つからない。何を言っても空々しく響きそうだ。
「ごめんなさい……」
迷っていると、ティアニス王女のほうから弱々しい謝罪を口にした。
「何を謝っている」
「私、結局……なんにもできなかった。せっかく稽古つけてもらったのに、手足がすくんで動かなかった……」
「そんなものだ」
「あなたの言うとおり。仇を討つどころか自分の命すら護れなくて、みんなの足手まといになっただけだった……!」
闇を彩る空色が風に晒され振り乱れる。
「“慈愛の女神”だなんて言われたって私にはなんの力もない! 誰かを助けることも護ることもできない!!」
叫びながら王女は自分の髪を強く握り締めた。
「おい、何をする」
「なのに……どうしてみんな私を護るの!? みんなが命を懸けて護る価値なんてないのにっ!!」
「止せ!!」
髪が抜けんばかりに引っ張る手を強引に掴んだら、勢い余って二人一緒に倒れ込んでしまった。草叢に押し倒した状態で、向き合う。