君の声が聞こえる
第七章新たな関係
最後の手紙

(by・良枝)

「良枝ちゃん……雅巳、頑張ったんだけど駄目だったの」

 電話越しから聞こえる雅巳のお母さんの声には、いつもの感じられる覇気がなく、哀愁が漂っている。

その声を聞きながら、私は何が駄目だったんだろう?などと考えていた。

 考えることを放棄した脳は、雅巳のお母さんの声を聞いても内容までは理解できず、ただ適当に相槌を打つのが精一杯だった。

「それで、お通夜は明後日の夕方になるんだけれど来られるかしら?良枝ちゃんに渡したいものがあって……」

 お通夜って誰の?

「良枝ちゃん、ショックなのは分かるけれど気を確かに持って……」

 電話越しの雅巳のお母さんは何も言わない私にそんな言葉をかけた。それに対しても、私は何も言えなかった。

『私、頑張ってみたけど……もう駄目みたい』

 あの時の雅巳の表情が私の頭の中に浮かんだ。絶望的な言葉を口にしたのに、明るかった雅巳の声はこの日が来ることを知っているかのようだった。

『この子だけは絶対に元気に産んでみせるわ。どんな事があっても……!』

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