君の声が聞こえる
「ありがとう。加藤君に最後に会えて良かった」

まあちゃんは私の言葉に言葉に首を振った。俯いたまあちゃんの体が震えていた。

「……来てくれて有難う」

「まあちゃんは本当にいい子に育ったわね」

首を激しく振ったまあちゃんはまるで小さな子供のようだった。その時のまあちゃんを私は抱きしめる事しか出来なかった。

まあちゃんが私を抱きしめ返す。

「幸せになりなさい。みんながそれを望ん
でいるのよ」

 私の声はまあちゃんにちゃんと届いていただろうか?

「ばあちゃん、俺、俺、どうしたらいいのかな?」

私の腕の中で泣いたまあちゃん。

まあちゃんのそんな姿は二十年前の雅巳の姿を私に思い出させた。あの時も雅巳は私の胸の中で泣いた。

まあちゃんが生まれる前日、私の元に訪れた雅巳は「死にたくない」と泣いた。多分、あんな姿は誰にも見せたくなかったのだろう。

あの時の雅巳が発した心の叫びを私は一生忘れない。

その時、雅巳は私に激しく怒りをぶつけていたはずだった。

睦月君に本当の事を告げた事を雅巳は怒っていたのだ。

「どうして睦月にあんなことを言ったの?」

雅巳の言葉に私は「睦月君には本当の事を知る権利があるわ」と答えた。

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