禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「やりたい事なんて、何にもない。だって…だって…。」



神楽に手放されたら。



あたしには…何にもないもん。



美味しいご飯を食べたって。


どんなキレイな景色を見たって。



神楽がいないんだったら、味なんかなくなるし。



全てが無色の世界だよ。



「分かった。もう、泣かなくていいから。うちにおいで?」


「…それは出来ない。」



英里奈に悪い。



あたしだって、神楽が母親と暮らしてるってだけで、気が狂いそうなくらいなのに。

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