禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~

「舌を噛み切りたいほどイヤだとはな。自分から誘っておいて。」


耳元で吐息混じりに囁く。


「ちが…。」

「じゃあ、意識がなくなりそうなほどいいのか?落ちないように、痛みで紛らわせようとは。…甘いな。」


落ち続けていく体は、悲しいくらい神楽を求めてた。


苦しいとか。


痛いとか。


そんなんじゃなくて。


ただ、この現実を…


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