禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
そこで、初めてお母さんがお父さんを殺した事実を知った。



身寄りのないあたしは、施設に預けられて。



−−−1年が経った時。



「美緒(みお)ちゃん。これからは、神楽さんのお家で暮らすのよ?」



園長先生が、ニッコリと笑いながら話してくれた。



「初めまして。」



ひざを付きながら、微笑んであたしの手を取った男。



それが神楽だった。



20代のその男は、優しい雰囲気の中に、冷たい何かを隠し持ってる感じで。



「神楽さんは、若いのに福祉に協力的で。園にも多額の寄付をしてくれてるの。」



その園長先生の言葉を聞いて、あたしは買われたんだと思った。



なぜかなんて分かんない。



きっと、お姉さんたちの言葉を思い出したから?


< 3 / 341 >

この作品をシェア

pagetop