~1day Love minutes~
「えっ、あ、いや・・・その・・・」


 私はしどろもどろになりながら言った。


「そんなに珍しい?」


 男の子は微笑を浮かべてそう言った。


「あっ、はい・・・」


 つい、心の中の声が口に出てしまった。意表をつかれたらしく、驚いた様子で男の子は言った。


「あははっ、正直だなー。俺からしても、こんな朝早くから女の子一人で電車に乗ってるのも、珍しいけど?」


「あ・・・これはそのぅ・・・」


 私は事情を説明できるはずがなく、そのまま黙ってしまった。


 しばらく二人は沈黙していたが、男の子の方が先に口を開いた。


「まぁ、今は聞かないでおくよ。こっちにもいろいろワケありだし」


 遠くを見るような目で、男の子はそう言った。そんな表情に、私は何かを感じ取った。


「そう・・・なんですか」


 静かにそれだけ言った。


「おう。じゃ、少しの間よろしくっ」


 と、右手を挙げて笑う。


(え、えぇ?! よろしくってどういう事!?)


 状況が分からないまま、なぜか一緒に居ることになってしまった。
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