大失恋
「秋ちゃんもそれに乗るのはどうなのかしら?」
ゆっくりとした口調が特徴の、
片田先生御歳81歳のおばーさん
この習字教室を昭和って昔から開いている先生。優しい雰囲気だけど教室内でふざけたことをすればかなり叱られる、泣くだけじゃ許してもらえないほど怖い先生なのである。昔、アキバァーも片田先生にはすごく怒られたって言ってた。そのせいか今、アキバァーが固まっている。黒い笑顔で説教している片田先生は鬼だ。
俺はゆっくりとその場を立ち去ろうとした。が、俺の肩に2つの手が置かれた。後ろを振り返ると黒い笑顔が2つ。
「『逃がさないぞ』」
その日、近所には倉田の悲鳴が響いたとか…
「う〜ん?」
「どしたかっちゃん?」
「なおちんの声しなかった?」
「やめなかっちゃん。巻き添えになるよ」
「……。」
「「ごしゅーしょーさま」」
しこたま怒られた秋と直人
午後6時には教室が閉まる為、2人は教室を追い出され仕方なく口論しながらゆっくりと帰路を歩いていた。
「アキバァーのせいで俺まで怒られたし」
『それは、私のセリフ』
顔を見合わせフイッと逆方向を向く。でも、嫌な気分じゃないんだ。アキバァーと2人で帰れる日なんてめったにないこと。大学生ってのは時間はあるのに習字にはなかなか来られないって言ってた。だからこそ、今のこの時が直人には幸せな時間だった。
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