DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「……うん。さすがアレックスだ」
壁にもたれ、練兵場の中央に視線を向けていた青年は満足そうな笑みを浮かべた。
貸切状態の練兵場には数名の男達が居て、それぞれに壁際から、その空間の中央に視線を注いでいる。
各々ケルベロスの刻印を持つ兵士たちが見守る中。
練兵場の中央では、細身のまだ歳若い青年が、あきらかに青年より体格のいい兵士を地面に組み伏せ、その喉元にナイフを突きつけていた。
額に掛かる少し長めの黒髪。
その前髪の隙間から覗く青い眼光の無言の圧力に耐え切れなくなったのか、組み伏せられた兵士は力なく片手をあげた。
降参の意。
その上げられた腕にもやはりケルベロスの紋章。
「これで四人目」
先ほどの声の主はそう言って、隣に立つ男へと笑顔を向けた。
「どうだい? 経験豊富な君から見ても彼はなかなかだと思わないかい? ボルグ」