DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


だが、そのファ―レンと対峙しても尚。

アレックスの表情に変化は無い。

この練兵場に入ってからというもの、いや、それ以前からなのだろうが。

先ほどから、試合が始まろうとも、勝利をその手にして終わろうとも。

アレックスは……

「なんだい? ボルグ。もしかして君は彼の容姿が引っかかるのかい?」

アレックスの顔を凝視するボルグに気付き、隊長と呼ばれた青年は問うた。

「いえ……そういうわけじゃ……」

口を濁すボルグに青年はふふ、と笑ってみせ

「まあね、確かにこの国じゃ彼のような黒髪碧眼はめずらしいけどね……でも、彼は間違いなく、生まれも育ちもこの国の人間だよ」

はっきりと言い切る。そして

「そしてきっと誰よりも経験もある」

言いながら、青年がむけた目線の先では、ファ―レンがくるりと槍を廻して見せたところだった。


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