DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
すう、と差し伸べられた白く細い手に誘われるように、カイゼルは膝をつきその手を取り口付けする。
「ありがたきお言葉……」
言葉を言い切らぬうちに、身を屈めたカイゼルの胸元で、無機質な電子音が鳴った。
「失礼します」
「かまいませんよ」
ディーバに断りを入れ、胸元から通信機をだした。
中央司令部から送信された緊急連絡文に目を通し、顔を上げる。
「カラヤでちょっとした騒ぎが起きたようです。負傷したディラハン兵が紛れ込んだらしいのですが、それを民間の医師がかくまっているとかで」
「憲兵は?」
「すでに向かったようですが、カラヤは戦場に近いせいかディラハン兵へ恨みが深い者が多く捕虜として連れて行かれるのを拒んでいます。自分達で制裁を加えたいのでしょうが……医師も医師でどちらへも渡そうとしないため暴動になるのも時間の問題かと」
「ふう……ん」
「兵も自国民相手への発砲は嫌いますからね、事態の収拾にてこずっているようです」
「そう……」
カイゼルの報告を聞き、ディーバはクスリと笑った。