DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
他の記憶はほとんど失われたといってもいい。
自分がどんな幼少を過ごし、あの記憶の場面へとたどりついたのかもウリエルはよく覚えてはいない。
アイアン・メイデンとして生まれ変わったその時。
機械の手足と強靭な武器を得ると共に、それをより効果的に使えるようにと頭に埋め込まれた戦闘用の人口脳。
それが影響してるのではないかと、コーエン博士は言った。
脳といってもそれ自体はごく小さなもので、指先にも満たない大きさの小さなチップ状の物だ。
ミカエルが研究所に来る前、コーエンに一度見せてもらったことがある。
あんなちっぽけなものに、身体能力を最大限に引き出すための信号と、戦闘時における意識を安定させるためのもの、その他もろもろの膨大なプログラムデータが詰め込まれているという。
そのうちの一部のプログラムが本来持つ記憶にもなんらかの干渉を及ぼしているのではないか。
症状を訴えたウリエルに対しコーエンはそう説明して、改良の研究中だとも言った。