DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


「もっとも、君は過去のことなんか忘れたままの方がいいのではないかね?」

意味深な笑みを浮かべた爬虫類顔を思い出すと、ムカムカとこみ上げてくるものもあったが。

コーエンの台詞はもっともなのかもしれない。

記憶ははっきりせずとも、あの光景の中血まみれで倒れていたのは自分の両親で……

赤く染まったナイフを握っていた小さな手が、自分の手であると。

何故かそれだけははっきりと認識できた。

繰り返してフラッシュバックするその場面に限らず、僅かに思い出す数少ない他の記憶も、胸に痛みを伴うようなものばかり。

それから想像するに、失ってしまった過去もどうせろくなものではないのだろうから。

「守護天使だなんて笑わせるよな」

自嘲気味にひとり呟く。

そんなものにはほど遠い罪を犯した。

「親殺しの天使なんて」

それだけは、はっきりとわかる。


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