DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「お前は私がこんな立場だから、何不自由なく育ってきたはずだ。だが、彼ら……いや、彼らに限らずこの国の多くの者は日々の暮らしすらままならない生活を強いられてる」
自分の服を見下ろしたまま硬直していると、肩に置かれた手に本の少し力が込められる。
「よく覚えておきなさい。長い戦争の為に民の多くは荒れた生活を強いられている。
この国では一部の者しか恵まれた生活をおくっていないことを、自分はそのごく一部だということを。
国民の多くは、惨めな生活を強いられ、不満を抱いて居る者が大半だ。
だから、どんな些細なことでも、機会さえあればそれを発散させたがる。
自分達と異なる者、弱いものは格好の標的だろう。
だが、彼らもまた苦しんでいる」
異なる者。
弱いもの。
灰色の髪の、幼い少女。
おぼつかない足取りで去っていった小さな背中。
父の言いたいことはおぼろげにだが理解できてきた……だが、だからといって。
あんな小さな子供が酷い仕打ちを受けているのを黙って見過ごすことしかできないのか?
やるせなさは消えない。