DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


唇を噛み、きゅ、と拳を握り締める。

そんな様子を見ていた父が

「強くなりなさい」

一言そう言い、顔を覗き込むように身を屈め

「小さな不幸を全て正そうと思っても到底全ては拾いこなせない。それでも、救いたいと思うなら……その根源を正さねばならない」

諭すように、静かに語りかけてくる。

肩から流れるオレンジの房が頬をくすぐるように撫でた。

「強くなりなさい。根源を絶てるだけの力で、この国を変えなさい。お前はそれを目指せるだけの立場も環境も、生まれながらにもっているのだから……」

俯けていた顔を上げれば、優しい表情の空色の瞳がそこにあった。

派手に表情を変えることはない。でも、自分を見るときその空色に溢れる表情に。

いつもホッとする。

厳格なことで知られる父親であったが、彼が誰よりも優しいことを、自分は知っている。


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