DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「なんだよ……それ」
敵兵を殺すことなく、最小限の被害でひかせた?
考えられない。
でも、つじつまはあう。
偵察で手に入れた記録画像のどこにも、ディラハン兵の死体も姿も映ってはいなかった。
破壊された武器と空になった野営の跡。
「情けをかけたのか? 敵国の兵に」
「……五年前だったら……多分殺してた。何も考えず、目の前のものを全て切り払ってた」
不信感をあらわに睨みつけるウリエルに、ルシフェルはぽつりとこぼした。
「でも、もう……誰も死ぬのは嫌だから。殺したくないから……誰にだって家族が居る。誰かが死ねば必ず苦しむ人がいる……だから殺さないと誓った。この剣をくれた人は、それをわかってこれをわたしに託してくれた」
そう言いながら、剣をすう、と目の前にかざしながら
「だから、この存在しない刃がいましめ。これを見れば、自分を保てる」
そう言って、ウリエルへと強い視線を向ける。
「人が死ねば、悲しみが、憎しみが生まれる。それは誰も同じ……だから、どこかで絶たなきゃいけない、この苦しみの連鎖を」