DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


あの様子なら、下の兵士には今のウリエルの声は聞こえていなかったに違いない。

そのことにそっと胸をなでおろす。

「なんでそう自虐的なんだか……」

入り口の前に山を作る通路の壁の瓦礫越しに見える小さな人影にむかい、こっそり愚痴る。

他の兵士達は知らない。彼女は機械人形だと信じている。

かつて彼女が何者だったかなど疑ったことすらないのだ。

知られてはならない、それももちろんなのだが。

それ以上に……知られたくないという思いがある。

密かに溜息を漏らして、目を閉じる。

瞼の裏に映る記憶の残像が胸をチクリと刺し、ファーレンは微かに眉間を寄せた。

だが、それもほんの僅かの間。

今は目を閉じて感傷に浸っている場合ではない。

即座に気を取り直したファーレンは、、念のため持って来ていた槍の柄を強く握り直し、その動きを見逃さないようしっかりと前を見据えた。



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