DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
マリウスは口を一文字に固く結び、震えを押さえる為か更に体を小さく丸める、アレックスもマリウスから視線を外し、自分のブーツの紐を今一度固く結びなおす作業を始めた。
やがて、皆が口を閉ざし。沈黙に満たされたトラックの荷台。
しばらく揺られ続けたのち、一段大きな揺れの訪れとともに、それが止む。
――リエーネ
アルマを出て約一時間後。
トラックが止まり、テント状に布張りされた荷台から降りた一同は、目の前の光景に思わず息を呑んだ。
見渡す限り一面の炎の海。
真っ暗な筈の夜空が赤く染められている。
焦げ付く異臭が鼻を突き、あちこちから聞こえる悲鳴や泣き声に……兵士達は言葉を発することすら出来ず立ち尽くす。
「なんだこりゃあ……」
一番最後にあくびをしながら出てきたボルグも、目の前の惨状を見た瞬間、表情が固まった。
家という家、建物という建物全てから炎が上がり、時折、何かが焼けて崩れる音が聞こえる。
「空襲ですね」
一人冷静に、前方を見据えアレックスが言うと
「……見りゃわかる。だが、こりゃひでえ……ここは非武装地区だぞ」
ボルグは忌々しげに舌打ちをした。